コラム

第百回目の専門家コラムは、司法書士法人鈴木事務所の、司法書士である鈴木龍介先生に執筆していただきました。鈴木先生の略歴を文末に掲載させていただきます。今回のコラムにおいては、一般社団法人・一般財団法人に関する課税の見直しがされた平成30年度の税制改正の前提として、一般社団法人・一般財団法人の機関・役員について解説していただいております。ご参考にしていただければ幸甚です。

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一般社団法人・一般財団法人の機関・役員 ~平成30年税制改正の前提として~
司法書士法人鈴木事務所
司法書士 鈴木 龍介
2018/6/15

1.はじめに

 平成30年度の税制改正において、一般社団法人・一般財団法人(以下、総称して「一般社団法人等」という。)に関する課税の見直しがなされた。これは、一般社団法人等に株式会社の株主のような所有者が存在しないことに着目して、個人から一般社団法人等に財産を移動することにより相続税を回避するというスキームを封じるための施策と評価される。

 具体的には、一般社団法人等の理事について、ⅰ)ある理事(以下、「当理事」という。)の相続開始直前において当理事と同族(被相続人+その配偶者・3親等内の親族+特別な関係にある者/以下に同じ。)である理事が理事の過半数を占めていること、もしくはⅱ)当理事の相続開始前5年以内において当理事と同族である理事が理事の過半数を占めていた期間の合計が3年以上であることのいずれかを充たす、非営利型法人等を除く一般社団法人等(以下、「特定一般社団法人等」という。)が対象となる。

 課税のあり方としては、当理事に相続が発生した場合に、当該特定一般社団法人等の純資産額を同族の理事の数(当理事を含む。)で等分した金額を当理事から特定一般社団法人等が遺贈により取得したものとみなして、特定一般社団法人等に相続税を課すというものである。

 以上を踏まえ、本稿では、本税制改正における大きなポイントの1つである一般社団法人等の機関・役員について、制度全体を概観したうえで、整理することとする。

2.一般社団法人等のアウトライン

 一般社団法人等は、いわゆる一連の公益法人改革において制定された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(以下、「一般法人法」という。)により誕生した、公益や共益等さまざまな目的に対応することのできる非営利型の法人である。なお、従来の民法法人は、基本的に一般社団法人等に取り込まれた。

 一般社団法人等は、定款の認証等所定の手続を行ったうえで登記をすることにより成立し(一般法人法22条・163条)、格別の許認可等は要しない。

 一般社団法人等は平成20年12月1日から制度がスタートしたが、現在、どのくらいの数の法人が存在するかを国税庁の「法人番号公表サイト」を使って抽出してみると、一般社団法人は約4万9,000、一般財団法人は約7,000となっている。なお、この数には旧民法法人から一般社団法人等に移行したものも含まれる。また、新規の設立に目を転じてみると、法務省の「登記統計(平成28年)」によれば、当該1年間で一般社団法人は6,075件、一般財団法人は324件、設立されている。ちなみに当該1年間で株式会社は約9万件、合同会社は約2,300件、設立されている。

3.一般社団法人の機関・役員

(1)構成員

 一般社団法人の構成員は社員である。なお、社員となる資格については、定款に別段の定めがある場合を除き、格別の制限はなく自然人でも法人でも差し支えないが、少なくとも設立時は2人、設立後は1人が必要となる。

 社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員総会において1人1個の議決権を持ち、当該法人の意思決定を行うことになる(一般法人法48条1項)。

 一般社団法人には、株式会社と異なり出資の制度がないため、社員が出資をするということはない。また、社員は死亡することで退社し(一般法人法29条3号)、その地位は相続の対象とならないのが原則である。

(2)機関設計

 一般社団法人の場合、ⅰ)社員総会、ⅱ)理事1人が最低限必要な機関・役員であり、社員(設立時は2人必要)と理事は兼ねられることから最低1人の人間で運営できるということになる。

 定款の定めにより、理事会・監事・会計監査人を設置することができる(一般法人法60条2項)。ただし、当該法人の最終の事業年度の貸借対照表上の負債の部の計上額が200億円以上である大規模一般社団法人(一般法人法2条2号)は、会計監査人を設置しなければならない(一般法人法62条)。これは、株式会社における大会社に会計監査人の設置義務があることと同趣旨であり、債権者等の多数の利害関係人の保護の必要性から会計処理の適正化を図ることを目的とするものである。

 理事会を設置した一般社団法人は、監事を設置しなければならないが(一般法人法61条)、これは、株式会社における取締役会設置会社に原則として監査役の設置義務があることと同趣旨であり、監査を通して業務執行者である理事の権限の濫用を防ぐことを目的とするものである。

 一般社団法人に最低限必要な社員総会と理事以外の機関を設置した場合には、その旨を登記しなければならない(一般法人法301条2項7~9号)。

(3)役員の選任等

 一般社団法人の理事・監事・会計監査人は、社員総会によって選任される(一般法人法63条1項)。なお、理事・監事は自然人でなければならない。

 原則的な任期は、理事が2年、監事が4年、会計監査人が1年である(一般法人法66条・67条1項、69条1項)。なお、会計監査人には、株式会社の場合と同様に、いわゆる、みなし再任規定が設けられている(一般法人法69条2項)。

 一般社団法人の理事・監事・会計監査人が就任したときには、その氏名・名称(代表理事については氏名および住所)を登記しなければならない(一般法人法301条2項5号・6号・8号・9号)。

(4)業務執行・代表

 一般社団法人の業務は、理事の過半数の決定により、各理事が執行する(一般法人法76条1項・2項)。なお、理事会設置法人の場合には理事会の決議により、代表理事および理事会が定めた理事が執行する(一般法人法90条2項1号・91条1項)。

 一般社団法人を代表するのは、原則として各理事である(一般法人法77条1項・2項)。ただし、ⅰ)定款、ⅱ)定款の定めに基づく理事の互選、ⅲ)社員総会の決議によって、理事の中から代表理事を定めることができる(一般法人法77条3項)。なお、理事会設置法人の場合には、理事会で選定された代表理事が法人を代表する(一般法人法77条1項・90条3項)。

4.一般財団法人の機関・役員

(1)構成員

 一般財団法人は、一般社団法人と異なり、社員等の構成員は存在しない。なお、一般財団法人に財産を拠出する設立者等は構成員に該当しない。また、一般財団法人の基本的事項の意思決定をする評議員会のメンバーである評議員も構成員ではない。

(2)機関構成

 一般財団法人の場合、ⅰ)評議員3人、ⅱ)評議員会、ⅲ)理事3人、ⅳ)理事会、ⅴ)監事1人が最低限必要な機関・役員であり(一般法人法170条1項)、評議員・理事・監事はそれぞれが兼ねられないことから最低7人の人間が運営に関与しなければならないことになる。一般財団法人は構成員が存在せず、より強固な管理・監督体制をとる必要があることから、一般社団法人のように簡素な機関設計を採用することはできない。

 定款の定めにより、会計監査人を設置することができる(一般法人法170条2項)。ただし、当該法人の最終の事業年度の貸借対照表上の負債の部の計上額が200億円以上である大規模一般財団法人(一般法人法2条3号)は、会計監査人を設置しなければならないが(一般法人法171条)、その趣旨は大規模一般社団法人と同様である。

 一般社団法人に任意的な機関である会計監査人を設置した場合には、その旨を登記しなければならないが(一般法人法302条2項7号)、その他の機関については、設置が必須であることから、その旨の登記は要しない。

(3)役員の選任等

 一般財団法人の理事・監事・会計監査人は、評議員会の決議により選任され(一般法人法177条、63条読替準用)、評議員は設立者が定款に定めた方法-たとえば評議員選定委員会-によって選任される(一般法人法153条1項8号)。なお、理事・監事・評議員は自然人でなければならない。

 原則的な任期は、理事が2年、監事が4年、評議員が4年、会計監査人が1年である(一般法人法177条、66条・67条1項・69条1項読替準用、174条)。なお、会計監査人には、株式会社や一般社団法人と同様に、みなし再任規定が設けられている(一般法人法177条、69条2項準用)。

 一般社団法人の理事・監事・評議員・会計監査人が就任したときには、その氏名・名称(代表理事については氏名および住所)を登記しなければならない(一般法人法302条2項5号~7号)。

(4)業務執行・代表

 一般財団法人の業務は、理事会の決議により、代表理事または理事会が定めた理事が執行する(一般法人法197条、90条2項1号・91条1項読替準用)。

 一般財団法人を代表するのは、理事会で選定された代表理事である(一般法人法197条、90条3項読替準用)。

執筆者紹介

主な役職等

日本司法書士会連合会 民事法改正対策部委員
リスクモンスター株式会社(東証二部上場)社外取締役(監査等委員)
慶應義塾大学大学院 法務研究科 非常勤講師
立教大学大学院 法学研究科 兼任講師
税務大学校 講師
一般社団法人与信管理協会 理事

主な著書

「商業・法人登記360問」(編著、テイハン、2018年)
「民法改正 ここだけ押さえよう!」(共著、中央経済社、2018年)
「論点解説 商業登記法コンメンタール」(編著、金融財政事情研究会、2017年)
「議事録作成の実務と実践」(編著、第一法規、2017年)
「外国会社のためのインバウンド法務」(編著、商事法務、2016年)
「法人・組合と法定公告」(編著、全国官報販売協同組合 2014年) など多数

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